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会長挨拶

第12回 日本難病医療ネットワーク学会学術集会

会長  冨山 誠彦

弘前大学大学院医学研究科 脳神経内科学講座 教授

 このたび、第12回日本難病医療ネットワーク学会学術集会を開催させていただくことになり、大変光栄に存じます。

 さて本大会のテーマは「難病医療の均てん化を目指して」といたしました。そもそも私が難病医療ネットワークに真面目に関わるようになったのは、旧版のA L S診療ガイドライン2013に「難病協議会は青森県と沖縄県を除く45都道府県に設置されている」と記載されていたからでした。この事実を、2013年に大阪で開かれた第一回難病医療ネットワーク学会で初代理事長吉良潤一先生の講演でお聞きし、驚愕したことを思い出します。青森に帰るなり慌てて青森県に難病医療連絡協議会の設置を提案し(実際は青森県でも1999年に難病医療連絡協議会が作られていたのですが、事実上消滅していました)、翌年の2014年4月に協議会の設置にこぎつけることができました。以後、微力ながら他県を見習い、立ち遅れていた青森県の難病医療ネットワークを全国水準まで引き上げるように努力してきたつもりですが、まだ全国的に見た「均てん化」と青森県内の「均てん化」には時間がかかりそうです。難病医療に先進的に取り組んでいる地域もあれば、私たちがそうであったように、どのように取り組んでいけば良いのかわからない地域もまだあると思います。この集会を機会に、face to faceのネットワークを築木、大いに連携していただければと思っています。

 2004年に設立された日本難病医療ネットワーク研究会が基盤となり、職種や所属の枠を超えて、広く難病の課題を検討し、医療とケア体制の向上を図ることを目的に、2013年に日本難病医療ネットワーク学会が設立されたわけですが、この10年の間に2つの大きな節目がありました。一つ目は、2017年1月「難病の患者に対する医療等に関する法律」が施行されたことです。難病改革の理念は、難病患者に対し「良質で適切な医療の確保」「療養生活の質の維持向上を図る」ことであり、難病の特性に応じて関係機関・職種が連携し、総合的な支援を行うこととされています。本学会は、それまでは主に神経難病を対象としていましたが、現在の338の多岐にわたる難病疾患に向き合うことになりました。今回の学術集会では、この理念に基づき、神経難病に偏らず広く難病疾患について取り上げていきたいと思っています。二つ目は、2024年から学会が法人化されます。法人化されることの意味について、会員の皆さんが共通の認識を持ち、これから学会の目指す方向性についてこの学術集会で議論ができればと思います。

 多職種からなる多くの学会員が集い、熱く議論し、職種や所属の枠を超えて、広く難病の課題を検討し、医療とケア体制の向上を目指す会にしたいと思います。みなさんに紅葉の艶やかな弘前でお目にかかることを心待ちにいたしております。